申し込み専用ハガキを付けて、CPOを下げる方法

チラシ内に「ハガキを付ける」のと「ハガキを付けない」のとでは、どちらがレスポンスを上げるために良い仕掛けなのでしょうか?ある通信販売企業が、「ハガキ有り」と「ハガキ無し」のチラシでテストを行った事例を紹介します。

テスト前の仮説「電話をかけてこないお客様を、取り逃がしている?」

商材は定価4,000円の健康食品です。チラシで新規顧客獲得プロモーションを行うにあたって、初回限定で、本商品を半額の2,000円で3箱まで購入できるという初回購入特典(=オファー)を設定していました。

このテストを行うのは、「ハガキでしか注文しない消費者」がどれくらいいるのかを調べるため。「どうしてもこの健康食品を購入したい」という強い意志がある消費者であれば、チラシに 電話番号しか掲載されていなければ電話で注文してきてくれるでしょう。
しかし、なかには「電話をかける」ことを極端に嫌がる消費者もいます。電話が「面倒くさい」と考える消費者も一定数いると想像できますし、「電話口で押し売りされたら・・?」と不安に思う消費者がいるかもしれません。シニア向けの商品であれば、耳が遠いため二電話が苦手という高齢者もいるかもしれません。

そういった消費者が、電話以外での注文方法がないために、注文をあきらめてしまうケースも考えられます。このような仮説によって、ハガキでの注文窓口を用意しておくことで注文数が増えるかどうかを確認するために、ハガキがあるパターンとないパターンのチラシを制作して、部数(各10万部)・配布エリアなどを同条件にして比較テストを実施しました。

「ハガキ有り」と「ハガキ無し」のチラシ裏面の例

レスポンスが40%アップ!ハガキ注文の窓口を広げた成果

ハガキ有りチラシからのレスポンス件数は91件、ハガキなしチラシからのレスポンス件数は65件でした。ハガキ有りチラシの方がレスポンスが良い、という結果になりました。

ハガキ有りチラシからの電話注文された件数は61件であったのに対して、ハガキ無しのチラシからの電話注文件数は65件と、件数の差はわずかです。しかしハガキ有りチラシは、ハガキからの注文が30件あり、ハガキ注文の件数差がレスポンス全体の大きな差になりました。

消費者は、企業側が思っているよりも電話注文にストレスを感じているのかもしれません。電話注文数自体は、ハガキ有りチラシ・ハガキ無しチラシともあまり差がないのに対して、ハガキ有りチラシは「ハガキでしか注文しない消費者」が注文できる窓口を増やしたことで、全体の注文数が増えたという結果になったのでは?と考えることができます。

本商品を半額で3はこうまで。まとめ買いアップセルに変化は?

このチラシをみて電話注文をしてきてくれた消費者には、「今回だけ2,000円で3箱まで購入できる」と伝えて、まとめ買いを促進する施策を実は行ってきました。そのためこの会社では、チラシにハガキを付けずに電話注文でインバウンド・アップセルをできる機会を増やそうとしてきたのです。

では、ハガキ注文時のまとめ買い割合はどうだったのでしょうか?ハガキの注文欄にも、3箱まで初回特別価格2,000円で購入できることを明記して、購入箱数を記入できる欄を設けていました。 ハガキ無し(電話注文時にアップセル有り)の場合、全体件数の95%が3個購入でした。一方、ハガキ有りチラシからハガキ注文された場合の複数個購入(2個・3個購入含む)は80%となりました。ハガキ注文の場合でも、2個購入・3個購入と複数個購入する消費者が9割と、想定よりも良い結果になりました。

このテストでは、「注文方法を電話のみに限定するよりも、ハガキを付けて注文方法を増やした方がよいという結果を導くことができました。

コールセンターの受電スキル・人員なども考慮して判断

実は他の事例でも、電話注文でインバウンドアップセルをした場合とハガキ注文の場合を比べたことがありました。ハガキから注文する消費者にはアップセルができないため、初回購入の客単価が低くなったり、初回購入から定期コースへ入る顧客数が減ってしまったりする傾向が見られることもありました。

引き上げ率を考えると、ハガキを付けずにインバウンド時にアップセルや定期コースへの引き上げを行った方が良い場合もあります。そのため、インバウンド・アップセルが得意な通信販売企業では、レスポンス数が減るのはわかったうえで、あえてハガキを付けないという判断をしていることもあります。
逆に、電話が鳴った際に注文を受ける「受電対応」に人員を避けない場合は、ハガキを付けてハガキからの注文を積極的に増やそうとしている。

※ 本記事は、「通販マーケティング-売れるチラシ入門-」(木村真子、東洋経済新報社)の一部を編集・抜粋のうえ掲載しています。

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株式会社ファインドスターは、化粧品・健康食品など単品リピート通販に特化して、新規顧客獲得・リピート支援事業を行っております。グループ会社の株式会社ワンスターやスタークス株式会社なども合わせて、これまで通販700社以上を支援してきました。
コールセンター代行などCRM事業も開始。広告によるレスポンス獲得から、定期コースへの引き上げまで一貫して、LTVの高いロイヤル顧客の想像を目指したサービスを展開しています。
1996年12月創業。社団法人日本通信販売協会(JADMA)賛助会員、日本地域広告会社協会加盟。2009年には、ダイヤモンド社から「効率3倍アップ!ニッチメディア広告術」(著:弊社代表取締役社長 内藤真一郎)を刊行。通販新聞や宣伝会議、週刊ダイヤモンドなど各メディアへの掲載も多数。